エンジニアがスタートアップで働くうえでの期待値調整tips

前回の記事に続いて中々刺されそうな内容になりそうですが、書き残します。
n=1なので諸々違う部分もあるかと思いますが、not急成長スタートアップなら当てはまる部分もあるのではないでしょうか。

学生の頃は、自分の中心にあるものって、勉学と遊びとあれば部活程度ですが、就職して働き出すと一気に仕事が前に来て、得たお賃金で遊び方も代わり...

自分は色々期待値を上げすぎたり、自分がコントロールできる外まで意識しすぎて1,2年は疲弊とまではいかずともふりかえると効率が悪かったなと感じる部分があります。

あくまでも期待値調整なので、スタートアップのここが悪いというよりは期待しすぎると、後々がっかりするから事前に分かってたほうがうまく立ち回れて幸せになれるという感じです。
スタートアップの良さには余り触れないですが、どのタイプの会社にも良し悪しと、立ち回り次第なところがあるということを念頭に置いてください。

みなみけ(漫画2004年〜 現在も連載中で25巻まで出版)の「過度な期待はしないでください」です。

ベンチャーとスタートアップの違い

ベンチャー企業とスタートアップの一番の違いはビジネスモデルにあります。 ベンチャー企業は既存のビジネスモデルをベースに収益性を高める工夫をするか、スケールを拡大することで売上を増大するような組織です。 一方のスタートアップは、今までにないイノベーションを起こし新しいビジネスモデルを手探りで構築していく組織になります。

https://www.antelope.co.jp/navigation/startup/difference/

諸説ありますが、本記事ではスタートアップを新しいビジネスモデルを構築する組織ということにします。

昇給が渋い

赤字だとない袖は振りにくいのが実情です。
エンジニア採用の場合は過去の給与や相場を多少加味するので入社時の年収はそこまで不満はないかもしれませんが、昇給が渋いので徐々に相場と乖離していきます。渋いの実態としては全社的に昇給が見送られる年があったり、頑張って昇給させたと言いつつ見送った年含め平均すると世間の平均と同じだったりといった具合です。
そもそもスタートアップ自体3年いれば長い方と言われているので、気にしないのも選択です。

もちろんエンジニア比率が高い会社だったりすると別かもしれませんが、比率がそこまで高くないとエンジニアの相場をまるっと会社に取り込むのも難しいという力学も働くでしょう。
(とはいえスタートアップ以外でも相場に応じて昇給する会社は少ないのが実態でしょう)

報酬アップを望むのであれば副業をしたほうが良いです。

ちなみにストックオプションは、複雑な設計が多く価値を出しにくいので、現金で受け取り別途投資することをお勧めします。
(現職は自分へのストックオプション付与はないですが、持株会があれど利用していません)

評価制度に期待しすぎない

評価制度は個人的成長を促す側面と、昇給幅を決める側面がある中で、昇給に関しては渋い可能性が高いので、期待を下げることが大事です。
とはいえ個人的成長になる部分(キャリアアップに繋がる)でもあるので、無理しすぎずぼちぼち取り組むのが望ましいです。
具体的には最上位ランクを取りに行くというよりは、中間の評価を維持することです。

評価制度自体、組織が若いと曖昧な運用だったり、タイミングで訂正が入ったりと振り回されることも片隅に覚えておくと良いです。

ちなみに最近の個人的なひねくれたモットーは「会社に媚びず、キャリアに媚びる」です。参考までに。

黒字化や上場の計画は常に変わっていく

現職は3年いますが、黒字化は1年半後というスケジュールが1年置きに出ましたし、上場の計画も似たような感じで都度訂正が入っています。(直近はいよいよ感は少しありつつ)
一般社員や候補者としては話半分くらいで聞き流す程度がちょうどよいです。

黒字化すればボーナスも出るはず?なので報酬面での期待は多少ありつつ、上場に関してはストックオプションがない限り直接的恩恵はないので、気にしすぎないほうが幸せです。

スタートアップである以上、事業計画はプリセールスの結果によって大きくずれたり、見込みがずれたりと中々計画が立ちにくく、修正が追いつかず社員に出せるのは年1,2回だったりします。

次の内容にも被りますが、個人事業で融資を受けたときに見栄えの良い事業計画を出し、実際はそうそううまく行かないということも分かってますし、風吹けば計画はコロコロ後ろ倒しに変わっていきます。(個人だと予算と実態は離れても何も言われませんw)

経営層が投資家に振り回される

スタートアップである以上、出資を受けてビジネスを回します。
黒字化しない限りは、「崖から落ちながら飛行機を組み立てる」の例えのごとく、黒字化して飛べるか、追加の資金調達をして地面に落ちないかを常に迫られます。

投資家(株主候補)には出資したくなるような夢のあるビジョンや事業計画を見せる必要があったり、
出資する、出資しない、業務提携する、しないで座組が色々あって振り回されたり、
株主には結果、計画の双方で厳しい意見があったり、
そんななかで社員には現実味のある計画でないと違和感を与える結果になってしまったり。

一般社員にはあまり見えないようにしていますが、ドタバタの裏ではそんなことがあったりするようです。(たまに裏話を聞く)

投資家には長期スパンのビジョンを見せる必要があるため、社長とかは5年先などの長期目線で話をすることが多く、それを加味せず2~3年くらいのイメージで受け取ると実現性がよく分からず心配になってしまうこともあります。

ちなみに会社法上の「取締役」は大きいところでは経営責任を問われる立場だったり、雇用保険の対象外になったと従業員とは一線引かれています。会社が破産したときは債権者集会の出席や、連帯保証人として融資等を受けた場合は返済義務も出てくるので人生かかってます。(極力融資等は会社名義のみにし連帯保証人を不要とするものを選ぶべきです。社員にはほとんどわからないですが)
なお「執行役員」は会社法上の定義はなく任意に設置する役職で、執行範囲の責任は多少あれど、雇用保険の対象だったりと割と社員に近いポジションです。

会社を残すためには事業を軌道に乗せることも重要ですが、資金が尽きることを避けるには投資家を優先するというのはやむを得ません。そしてそれが見えにくいです。

社員も変わるし役員もそこそこ入れ替わる

そもそもスタートアップは10年以内と言われていたりするので、会社自体の歴史が短ければ、平均勤続年数も短くなります。(現職の会社は10年超えてしまいました)
タイミングにもよるでしょうが、半分が入社1年未満とか平均勤続年数が1.5年だったりします。

執行役員も2年前後でどのポジションも入れ替わりがありえます。その都度別の人を採用したり、昇格したり、部門が分かれたり結合されたりします。

キャリアアップ等を目的に文字通り円満退社するケースもあれば、実は対立があって辞めるケースもたまに聞きます。基本的には創業社長が絶対なので、対立という構造を取ってしまうと、最終的に辞めるという選択肢を取らざるを得ないようです。いかに対立をせずうまく立ち回るかというのが、ある程度のポジションには求められる様子です。(Yesマンになるか、対立せずうまく要求を通すテクニック)
エンジニアがどこまでそういうポジションになるかというのはありますが、CTOやそれに近いポジションだと覚悟は必要でしょう。

透明性と上場は両立できない

「透明性が高い会社です」「弊社は上場を目指しています」これは両立できません。
厳密には、本格的に上場を目指す際に情報統制が必要になってくるため、上場がまだ先々の話なのか、透明性があるならと、財務三表や経営会議のすべての内容や具体的な事業計画が常に開示されているようなことを期待するとギャップが生じます。(財務三表見たいのは自分だけ?)

その割に経営者目線を持ってほしいというリクエストはあり、先述の責任も違えば情報量も違うのでもやもやを感じたりします。お互いないものねだりのような感じなので、極論ではなく落とし所を見つけることが重要です。
(これは個人事業で財務三表もすべて管理しているからかもしれません。ちなみに経営やってるとPLよりもCFを重要視します。)

ランウェイ(資金が尽きるまでの期間)をフルオープンにすべきか?というのは中々悩ましいというのは少しずつ分かってきました。

良くも悪くも変化には慣れるし、無駄なことは少ない

俗に言うJTCのようなものはありません。最低限統制を取りつつ、利益最大化を目指すので無駄なことを排除する力学が働きます。
無駄を排除できるならコストを抑えつつ新しいものを取り込む姿勢は強く、無料で使える新サービスは寛容的です。コストがかかる場合は内容によって温度感が変わってきますw

これは余談ですが、マイナスの変化であっても魅せ方がうまいです。素直に受け取りすぎないほうが後で細かいことを知ったときの落差が少ないので、これも話半分くらいで聞き流すくらいがちょうどよいです。

変化に寛容な部分はありつつ、個人的に求める制度(週休3日)は実現できなく、限度はあったりします。

スタートアップの実現したいところにどこまで冷静に熱狂できるか

ここまで書いてきた中で、期待値を下げ目にしたり、自分がコントロールできる範囲を見極めたりするtipsを出していきました。
そんな中で入社するかどうか、在籍を続けるかどうかの最後に行き着く先は、事業内容に冷静に熱狂できるかではないでしょうか。

熱狂とまではいかず、共感でも足りると思うのですが、そこがなんとなくだと会社を選び続ける理由として弱くなってしまいます。

とはいえ実現したいことは、理想と現実のギャップは存在していて、採用広報としての魅せ方と入社後のギャップも結構罠だったりします。一歩引いて現実はこうかもしれないが、それでも理想に熱狂できるかという冷静さも必要です。考えすぎると本当に今の現実が理想に繋がるか疑問を感じたりしますが気にしすぎても仕方ないです。

またメンバーとの会話の中でも、実現するにはどうするかというのを熱量高く会話できるのがスタートアップの魅力ではあるので、その熱量で細かい部分をどこまで気にせずできるかというバランスだったりもします。
自分の場合ある程度勤続年数が経ち、ぼちぼち気にならなくなり、ぼちぼち共感してるから勤続ような状態になりました。そのバランスが崩れてくるともういいやみたいな感じで離職するような。絶妙といえば絶妙なのですが。

「影響の輪」と「関心の輪」を見極める

これまでのtipsをふまえ、7つの習慣にあるキーワードを紹介します。
とある事象が自分は関心はあるが、変えられないものなのか、自分の手によって変えられるものなのかを見極めることが重要です。

  • 会社を直接黒字にはできないが、売上に影響することはできるかもしれない。
  • 昇給制度は変えられないかもしれない(言うだけ言ってみる程度が良いかもしれない)
    • 報酬がほしいなら副業すれば良い

スタートアップしかりベンチャーもそうですが、ボトムアップで変えていける雰囲気を出しつつも、影響の輪は実はそこまで大きくなかったりします。ここを勘違いすると疲れてしまうので、自分が影響できる事象なのかどうかは気にしておくとよいでしょう。

皆さんの期待値調整に役立つと幸いです。

ちょうど反対側の声みたいなものを見かけたので置いておきます。